ストロング ベイダー卿

休暇を終えてダークサイドに戻ると、そこには地獄が待っていた。病棟を担当するAttendingは毎週替わるのだが、今週はベイダー卿のサービスと言う事で警戒はしていた。ベイダー卿の要求は非常に高い。さらに今週1週間で移植が10件もあり、非常に厳しい1週間となってしまった。
肝臓グループでは、徹夜明けの手術の後は仮眠をとって良い事になっているのだが、ベイダー卿は徹夜明けの僕らに「先生、ストロング?」と必ず聞いてくる。「ストロング?」と聞かれたら頭の弱い僕はすかさず「YES」と反射的に答えてしまう。するとベイダー卿は「じゃあ、病棟お願いね」と返してくるのだ。特に今週は4件の徹夜手術があったので悲惨だった。さらにベイダー卿は、たまたま日本から見学に来ていた先生と学生さんにも厳しい。徹夜手術を早朝まで見学して、仮眠を取るために帰宅した学生さんに、朝の8時に「今、回診してるんだけど、どこにいるの?待ってるから早くおいで」なんて電話している。ほとんどイタズラ電話のノリだ。さらに、フラフラになって現れた学生さんに「今晩も手術あるから見ていってね」なんて追い討ちをかけている。半分涙目になって助けを求めてる学生さんに「じゃあ今日も一緒に徹夜だね」と僕からもトドメをさしてあげた。
こんな感じで、復帰第1週目を楽しく終えることが出来た。今日は本当に久しぶりに家で家族と食事を摂っている。今の所、今晩は手術は無さそうだ。