接遇マナー

昨晩の当直も結局2時間半睡眠に終わった。さすがに疲れきって日勤の仕事に向かったが、今日の午前中の仕事は市町村の検診だった。220人ほどの受診者を医者2人で診察するのが今日の前半のお勤めだ。検診の一般診察をやった経験のあるDrになら分かってもらえると思うが、この一般診察、医学的経済的にあまり意味が無い。どうも僕はこの仕事が好きになれない。受診者の中には、医者と話すことを期待してこられる人もいるが、何しろ時間が無いので、如何に話を早く切り上げるかを考えてばかりいるので、受診者も物足りなかろうと思う。いずれにしてもこの仕事は今日で終わりだ。今日をもって、1月からお世話になっていた検診施設を退職した。検診業務というのは、一般の病院と違い、基本的に健康な人が受診する。検診受診者というのは、当然何かの症状に困っているわけではないので、患者というよりはお客様という気分で来られる人が多い。当然、医者としても患者としては扱わず、顧客として接遇する。僕は未熟な人間なので、どうもこの接遇マナーというものが苦手だ。自分の目指す外科医のカタチには、この接遇マナーという項目は含まれていなかった。しかし、自分より技術的に優れている先輩医師や同僚の接客態度を見ていると、僕の考えの未熟さを痛いほど痛感させられた。ただ、病を治すだけの時代は明らかに終わりつつある。これからの医療にはエンターテインメントの要素も取り入れていくべきだろう。
ここで、最近読んだ本を一冊紹介したい。著者は何を隠そう、僕の勤務していた検診施設の所長だ。面白半分で読んでみたが、これがなかなか面白い。この本の核心ともいうべきは「自らを愛せないものは他人をも愛せない。自分を徹底的に愛せる人こそ他者を無条件に愛することができ、他者を無条件に愛せることこそ社会の平和につながる」という思想だ。一部冗長な部分もあるが、プロの物書きが書いたわけではないのでご容赦いただいて、一読されてみることを薦めたい。このラブラブ思考こそ接遇マナーの基本だろう。
ラブラブ思考で世界は変る