トップ集団を走れ

先週末、アメリカはLabor Dayといって労働に感謝するために3連休だった。しかし、Fellowな僕にとっては、まさにLaborをするための3連休だった。連休中は2夜連続の徹夜手術で、昼間もフルに働き、結局、連続勤務記録は1ヶ月を超えた。
2夜連続徹夜手術の初夜は、日本人アテンディングのK先生と共に過ごした。(もちろん術者と助手として手術室で過ごした)K先生は手術に関して非常にストイックだ。今回の手術は多内臓移植だったが、昼に始まり、翌朝終わると言う非常に長い手術になった。明け方3時ごろには、僕は完全に干上がっていて、集中力も欠如し、目もうつろな状態に陥っていたが、K先生は、最後の最後までGraftの完璧な血流を追求していた。驚くほどの体力と集中力だ。しかもK先生のストイックさは手術だけに収まらない。術後管理にも完璧を求める。以前にも紹介したが、Fellowの生活は毎朝5時半からの情報収集に始まる。僕も毎朝、完璧な患者の状態把握を期してみっちり2時間以上かけて情報収集するわけだが、これまた以前書いたように、僕のツメはいつも甘い。K先生は、僕の弱点を知っているかのように必ずツメの甘い点を突いてくる。毎朝、完璧を期しているが、完璧なプレゼンを出来たためしは未だかつて無い。悲しい事だ。
最近、そのK先生とゆっくり話をする機会があった。先生の話は、まさに移植外科分野の世界最先端だった。最先端の話しを聞かされた挙句、まとまった休みが取れた時には、他の施設を見学に行ってマイアミに無い技術を勉強してきた方がいいとSuggestionを頂いた。実際K先生もFellow時代には、長期休暇を利用して他施設を見学してきたそうだ。K先生は、当然僕の求める外科医のカタチを具現している1人で、移植外科分野のトップ集団を走っている人だ。そんな先生から助言をもらえたことは非常に嬉しいことだ。しかし今の自分の状況はあまりに理想と程遠い。2夜連続徹夜手術でへこたれているようでは、とてもたどり着けそうに無い。