一歩目

はじめの一歩を踏み出そうという気持ちが芽生えてきたものの、やっぱりその後の道程を考えると、どうしても二の足を踏んでしまう。そんな時に新たに知り合った友人がそっと背中を押してくれた。

その友人は、僕と同様に研究留学でアメリカに来た呼吸器外科医で、約1年前から臨床留学を目指して合衆国医師国家試験(USMLE)の準備を始めていた。しかも彼の他にも志を同じくする脳外科医がいて、共に勉強していると言う。とりあえず2人の勉強会にお邪魔させてもらうことにした。やはり旅路は仲間がいると楽しいし、情報も集めやすくなる。僕も早速彼らの進める参考書を買い込み、週1回の勉強会に参加させてもらうことにした。こうやってアメリカでの移植外科修行への記念すべきはじめの一歩を踏み出した。

アメリカという国は、なんだかんだと言っても外国人に極めて開放された国で、僕らのような外国人医師でもアメリカで医者になる道が用意されている。アメリカのMedical Schoolを出ていなくても、外国の医学部に在学もしくは卒業していれば、アメリカの医師国家試験(以降USMLE)を受験する事が出来る。USMLEはStep 1からStep 3まで全部で4つの試験で構成されており、Step 1とStep 2 (Step 2は臨床医学の知識とSkillを問う2つの試験に分割されている)にパスすればアメリカで臨床医としてのトレーニングをする資格が与えられる。とはいっても外国人にとってはかなり狭き門で、外国人に限っていえば合格率は50%程度だろう。しかし、これにパスしてしまえば表向きはアメリカ人と差別される事無くトレーニングのポジションに応募する事が出来る。首尾よくポジションを確保でき、Visaの問題をクリアできれば晴れてアメリカで医者になれるのだ。(とはいってもあくまで肩書きは研修医だが)