医局との対決

ようやくStep1を受験する日が視野に入ってきたころ、日本に帰国する用事があり、我が医局のボスたるF教授と話す機会があった。F教授は就任後約1年ということもあり、医局、そして我が地方国立大学付属病院にF色を浸透させ、確固たる地歩を築くべく奮闘されていることが、同期の連中との話で分かっていた。
そのF教授との面談で、教授は「お前もあと半年で帰国だから、なんとか助手のポストを用意しといてやる。」ということを話された。つまり、言い換えると「米国滞在を延長することなんか考えずに来年1月にはちゃんと帰って来い」という事だ。
さすがは教授だ。僕の性格は既にお見通しだった。
しかし、ここで「はい」と返事をしてしまうと、後々臨床留学するときに悶着があるに違いないと思ったので、「アメリカで移植を勉強したい」と言ってしまった。
予定では、ECFMGを取得し、就職の見通しが決まってから教授には上奏するつもりでいたが、致し方ない。案の定教授はお怒りになってしまったが、言い出したら聞かない僕の性格をご存知なのか「お前なんかがECFMG取れるわけ無いと思うけど、やってみれば」って感じでUSMLE受験の許可を得たんだか得ていないんだか分からないまま面談を終えてしまった。
ただひとつ言える事は、ECFMG取得に向けて背水の陣をひいてしまったということだ。
同期連中にあきれられながらも、「吐いた唾は飲み込めねえ」なんてやくざなことを言いながら逃げるようにアメリカに戻ってきた。