困った受診者。

唐突だが、現在僕は日本のとある健診施設に勤務している。
僕のいる施設は健診に特化したユニークな施設で、日本有数の規模を誇っていることは間違いないだろう。ここで、内視鏡検査とドックの結果をドック受診者に説明するという僕の目指す外科医のカタチからは遠く離れた毎日を過ごしている。
医者の立場としては、癌や他の病気を早期発見して受診者に喜んでもらおうと頑張っているのだが、どうやら受診者はそうは思っていないらしい。
この間も、血液検査で中性脂肪の値が高くなってきている受診者に、「中性脂肪の値が高くなってきています」と説明したら、この受診者、急に怒り出して、「毎日毎日こんなに気をつけて生活しているのにどうして中性脂肪が高くなるんだ。検査のミスじゃないのか?検体の採り違いをしてるんじゃないか?こんな検査結果は信じられない。ちゃんと納得のいくように説明しろ」などと罵詈雑言の嵐で閉口させられてしまった。
たしかにこの受診者の気持ちは良く分かる。きっと修行僧のような毎日を送った1年だったのだろう。
人間ドックに受診される人たちは、一般的に健康に関して非常に意識が高い。しかし、ヒステリックになるほど健康であることを追い求めると、不老不死を求めてわけの分からない薬を、たっぷりと飲んで早死にした秦の始皇帝のようになってしまうのではないか?
健康診断サービスを提供する側として、細々とした事実を提供しすぎても、受診者が消化不良を起こしてしまうようではいけないと思う。
これからの健診サービスについて考えさせられた受診者だった。