今日は市内の中核病院の当直だ。当番日なので急患の数は結構多い。この病院での前回の当直では、20台女性の性器出血によるショック患者で苦い思いをしたことを以前に書いたと思う。結局、その患者は膣壁損傷による出血だったようだ。しかし、何をやったら血圧が下がるほど出血するような損傷が起きるのだろう?いずれにしても、その患者は僕にうそをついていた。
今日は既に救急車4台とまあまあのペースだ。軽症ばかりであるが、入院が一人あった。診たところ急性胃腸炎なのだが、症状の表現の仕方が妙に派手だ。心電図を含め緊急で可能な検査一式をやったが特に異常も無いので帰宅させようとしたら眩暈がするという。患者自体はAnxiety disorder的な印象なので、入院の必要は感じられなかったが、明らかに家族が入院を要求してくるので、仕方なく入院させることにした。
救急医療の現場というのは、非常にやりがいがある。重症患者を手際よく救命したりしたときには最高の気分だ。しかし、疑問を感じることや嫌な思いをさせられることも非常に多い。特に軽医療の場面では、すっかり医療はサービス産業になってしまっている。顧客である患者は期待していたサービスが得られないと非常に不満を持つ。以前TVで、雪崩の危険のある滑走禁止の斜面を滑ってくるボーダーやスキーヤーをパトロールが注意している場面を見たが、注意を受けた人間が「金を払ってるんだから文句を言うな」とパトロールに逆切れしていた。それと似たような印象を受けることが医療の現場でも良くある。行き過ぎた顧客第1主義はモラルハザードを産む。そんな環境を作ってしまうサービス産業も問題だが、顧客側も一人一人がモラルや品格を大事にすべきであろう。
今日の当直の締めくくりは吐血だった。十二指腸潰瘍からの出血で内視鏡をやった時には既に出血は止まっていたが、結局今夜は貫徹だった。一旦家に帰って、大学に顔出して、午後から別の病院の当直だ。