お砂糖ご飯

小児移植外科では、子供を扱うだけあって、栄養には細心の注意を払う。特にうちのチームでは小腸移植(多内蔵移植も含む)症例が多いので、殊更だ。しかし、ここはアメリカだけあって、食事の区分は非常に大雑把だ。日本では、胃などの消化管の手術後では流動食から、3分粥、5部粥、全粥、常食と非常に細かく食事をステップアップしていく。しかし、ここアメリカではClear liquidの次はSoft diet,次にRegular Diet(常食)と3段階しかない。しかも専門の食事療法士にSoft Dietって何だ?って聞くとパスタやハンバーガーまでSoft Dietに含まれてしまうらしい。日本の消化器外科医の感覚でいくと、術後数日でモルヒネを打ちながらハンバーガーにかぶりついている術後の患者なんて想像も出来ない。しかし、そんな感覚にも随分と慣れてきたが、味覚に関しては未だについていけない部分も多い。つい先日も、低アレルゲン食について小児消化器内科の女医さんにコンサルトしたが、帰ってきた返事がWhite rice with Sugarだった。想像して欲しい。お茶碗に盛られた銀シャリに砂糖をぶっかけて食べることを。その場には僕も含めて4人の日本人が居合わせたが、4人とも眉間に皺を寄せていた。この女医さんは仕事が遅くなって帰宅したときなんかに、御主人に向かって「今日は遅くなっちゃったから、簡単な食事で我慢してね。」なんていいながらお砂糖ご飯を出しているのかもしれない。