最後の産業医

昨日は最後の産業医のバイトだった。
前回の面談でドクターストップをかけた人も、2日ほど会社を休んだだけで元気に復職していた。午前中は後任の先生への引継ぎの意味も含めて、重症(要注意症状を持った人という意味)の社員の面談を2人で行い、後半は2人で平行して面談を組んだので楽な仕事となった。仕事を終えて健康管理室の看護士さん2人と人事部のH田さんと4人で飲みに出かけた。思えば、このバイト関係で飲みに出かけるのは初めてのことだ。6時過ぎから11時まで河岸をも変えずにひたすらに飲みまくり、話しまくり、非常に楽しい一時だった。

このバイトを始める前は、産業医の経験は多少なりとも持っていたが、単発の仕事ばかりで、継続して産業医として仕事をさせてもらったのは、この会社が初めてだった。精神科的な素養を要求されるこの仕事は、僕の経験を上げる上で非常に勉強になる場だった。産業医をやるにあたり、産業保健衛生の教科書はもちろん、カウンセリングのやり方から、社員のモチベーション管理、果ては経営関連の本まで読み漁った。その知識を、そのまま実地する機会が得られた事は非常に良い経験となった。しかし、本で得た知識をそのまま面談で用いられた社員の皆様にはご迷惑をかけたに違いない。ここでの経験は僕の目指す外科医のカタチに大きな影響をもたらしたと思う。今まで技術ばかり追い求める傾向があった自分を反省し、患者さんの事をもっと見つめられるよう、さらなる修行を積みたいと思う。
この機会を与えてくださったT橋先生、無知な僕に根気良く付き合ってくれたA会社の皆さん、相談に乗ってくれた友人たちに感謝の気持ちで一杯だ。