外科医を支える妻のカタチ(http://ahpon.blog76.fc2.com/)

最近、妻がブログを始めた。僕のやりたい放題、わがまま放題に必死に耐えている妻だと思っていたが、そんな逆境生活を意外にもエンジョイしているようだ。結婚する前は盆地を出た事が無い世間知らずの盆地入りムスメだった妻だが、10数年の結婚生活の間に彼女の脳ミソもバラ色の筋肉質に変わってきてしまったようだ。結構面白いので覗いてやってください。

クリスマスからお正月

気がついたらいつの間にか2007年に突入していた。常夏のマイアミでは全く季節感が無いのでクリスマスやら元旦やら、全く実感がわかない。いづれにせよ病院内に軟禁状態のFellowどもにとっては関係の無い話だ。また最近妙に忙しい、先週末から病棟患者の急変やら移植手術やらで2晩ほど徹夜し、1日空けてまた昨晩は徹夜手術、そして今晩も膵腎同時移植が入ってきそうな感じだ。そのためかいまだに風邪が良くならない。特に昨晩の術中に異常に発汗し、前立ちのアテンディングの先生に心配されてしまった。しかし、心配はしてくれても休めとは決して言ってくれない。昨日は8時間近くの長時間手術になってしまったが、体調不良と、前立ちの先生の英語が良くわからないのとで、全く思うように手が動かなかった。そんな手術の後は何だか気分が沈んでしまう。特にここ最近2例ほどレジデントを前立ちに途中まで手術をやったりして気分が高揚していただけにリバウンドが厳しい。修行というものはやっぱり辛いものだと再確認させられた。

X'mas present

とうとう風邪をひいてしまった。ほったらかしにしてあった娘の風邪をもらってしまったようだ。しかし、そんな時に限って妙に忙しい。X'mas当日は朝の6時から深夜1時までみっちり働き、今日も4時間睡眠で朝の6時からお仕事だった。いつもなら普通の忙しさなのだが、鼻水が止まらず節節も痛み出した今日のコンディションでは辛かった。なにしろ鼻水が止まらない。鼻をかみすぎて鼻が痛くなってきたのでマスクをつけてごまかしていたが、5分も経たないうちにマスクが鼻水で湿ってきてシミを作ってしまうのだ。今日1日で20枚近くのマスクが鼻水を吸い取った。この風邪が患者に伝染らないといいが。

Windows Mobile 5.0 日本語化

アメリカの研修医にPDAは欠かせない。僕もVerizonのSmart phoneを使っている。僕が選んだのはWindows Mobileだが、Palmに比べてユーザー層が薄いのか日本語化のいい情報がなかなか探せないでいた。しかし、先日思い切って日本語化を試してみたところ、いまのところ上手くいっている。僕のSmart phoneはVerizonのXV6700とかいう機種だったと思うが、ここで日本語化方法を紹介したい。
まず、Let's Japan(http://asukal.seesaa.net/pages/user/search/?keyword=Lets+Japan)というCABとかいうのをPC経由で電話機の適当なフォルダにコピーし、クリック、実行する。次にReload Japan(http://geocities.yahoo.co.jp/gl/hou_ming_2/comment?.date=20060323&.utc=1143109827)というのをWindowsのStart upに放り込む。
これで、日本語表示が可能となる。
さらにBagojsINPUTというFreeのIMをインストールすれば、日本語環境をただで手に入れられる。
という訳で、僕のSmart phoneでも日本語メールのやり取りが可能となったわけだが、何しろ画面が小さいのでやりづらい。結局日本語化後2週間以上経つが、全く日本語を使っていないのが現状である。

Stone Crab

上記のような休日だったが、家に忘れてきたIDバッジを病院に届けてもらったついでに家族で病院近くのSea food restaurantに行ってきた。Stone Crabというのは、この辺り特産の蟹で石のような硬い甲羅と巨大なはさみを持つ。乱獲を防ぐ為に禁漁期間が定められているようで、つい最近漁が解禁になったようだ。折角マイアミにいるのに、子供たちはこの蟹を食べた事が無い。という訳で、思いっきり奮発して一番安いStone Crabのセットを注文した。安いといっても蟹の足が5本で$30である。蟹好きの妻と長男は喜んではぐはぐと食べていた。

Intern

以前にも書いたが、腎移植チームにはInternが4人いる。アメリカのトレーニングシステムは、ResidencyからFellowshipを経てAttendingとなって一人前の専門医になると言うのが一般的だ。Internというのは公式なトレーニングのポジションではない。米国Medical school出身のほとんどはInternを経ずにResidency programにApplyする。僕のようなIMG(International Medical Graduate)はなかなかResidencyには入れないので、Internとして1〜2年下積み生活を送り、その間に良い推薦状を書いてもらい、ResidencyにApplyするという方法もあるようだ。という訳で、4人いるうちのInternは全てIMGだ。見習いということで、雑用ばかりが彼らの仕事で、手技をさせてもらえる機会というのはほとんど無いが、志の高い連中なのでよく勉強している。しかし、仕事となると自分の権利を主張する事は決して忘れない。我がチームにInternは4人いるはずだが、ここ1週間彼らは交代で休暇をとったり、ResidencyのInterviewに行ったりで、病棟には1人しかいないので仕事が廻っていない。こういう非常事態では、日本人なら休みを返上して働きそうなものだが、彼らは決して休みを手放さない。そんな訳で、日本人な僕が休みを返上して働いている次第である。

手術場にて

最近立て続けに日本で頑張っている同門の友人たちから連絡があった。友人たちの活躍の話しは聞いていて気持ちがいい。
ところで、夜なべして手袋を縫っているおかげで、ちょっとは縫合がまともになってきた。腎移植チームの手術は肝移植チームと違い、術中に音楽をならしながらリラックスした雰囲気の中進んでいく。日本の手術場に慣れている自分にとって、何だか落ち着かないが、そんな雰囲気にも馴染んできた。しかし、そんな雰囲気の中でも前立ちのアテンディングの先生は、僕のやっている事をしっかりと監視している。先日のことだが、僕が静脈の吻合をしている時に、前立ちの先生は、音楽に合わせて歌いながら踊りだしてしまった。「ちゃんと手伝ってよ」なんて思いながら針を進めていたが、踊っているはずの前立ちの先生が急に、「Dr.○にルーペを着けさせろ、こいつはちゃんと見えていないからルーペが必要だ」なんて言い出した。僕はしっかりルーペをしていたが、ほんのちょこっとバイトが甘かったのを見逃さずに、洒落たいいまわしで注意を促しているのだ。こんな感じで手術をさせてもらっている。