Kaplan Step 2 CS prep course

さて、話題をUSMLEに戻してみたい。
KaplanのCourseに参加していた日本人は僕とProfessorを含め4人いた。他の2人は北海道から来た研修医とアメリカのInvestment Bankで毎日100万ドル以上をDealingすることに飽きて、カリブ海のとある島の医学校に入学した日本人だった。2人とも非常にモチベーションの高い人間で、知り合いになれて本当に良かった。Kaplanのコースで特に親しくなったのはイタリア人のLorenzoと韓国人のSon-wongだ。彼らとは現在も連絡を取り合っている。Kaplanのコースでは、概ね毎日、朝7時半ごろから夜は9時過ぎまで拘束され、みっちりと講義を受ける。生徒がほぼ全て外国人ということで、講師の英語は非常に聞き取りやすいが、何しろVolumeが多すぎて初日から消化不良に陥ってしまう。やはり講習前にみっちりと予習しておくべきだった。コース初日は患者に対する接遇マナーと用いるべき言葉をみっちり仕込まれ、次に模擬患者2人を本番のテストと同様に診察する内容だった。初っ端から模擬試験には閉口したが、2人の模擬患者のうち一人は脳卒中、もう一人は急性腹症(恐らくAppe)の設定で、急性腹症のほうは正に僕の専門なので自分でも驚くぐらいスムーズに演技することが出来た。模擬試験後の模擬患者との対談では、脳卒中のおやじにはぼろくそに言われてしまったが、AppeのおばちゃんにはExcellentと太鼓判を押してもらえた。しかし、太鼓判を押されたことで上機嫌になっていたのも束の間、最後に講習参加者がお互いに患者役になっての模擬演習では、インド人の無茶苦茶美人だか、スパイシーな体臭のきついねーちゃんとNYで鍼灸医院を2つ開業している南米出身の親父、そしてカリフォルニア大学の脳外科の教授を親父に持つアイルランド人の4人と組んだおかげで、自分の英語力のなさを痛感し凹んだ状態で1日を終えた。先にこの講習を受けていたKonさんから、講習後ホテルに帰ってから復習をすることを勧められてはいたが、Professorも僕も消耗しきっていたので、初日はホテルに帰ってビール飲んでさっさと寝てしまった。2日目は朝から深夜まで教室に閉じ込められっぱなしで講義を聴かされた。学生からの性分で、講義から抜け出したくてしょうがなかったが、講習会場は閑静な住宅街の中にあり、宿舎のホテルからは徒歩だと小1時間ほどもかかる距離で周囲に公共交通機関は無い。あきらめの境地で最後まで耐え、ふらふらになってホテルに帰ったのだが、クラスの喫煙仲間のキューバ人が、まんまと牢獄のような講習会場から抜け出して、爽やかな顔してビールを飲んでいるではないか。そこで、「どうやってあの牢獄のような会場から逃げ出したんだ?」と聞いてみると、「俺はキューバから逃げてきたんだ。あんなとこから脱出するのは簡単さ。」とのたまってくれた。お互い笑い合いながらも、日本では決して見ることが出来ない世界を垣間見た気分だった。3日目も同様に講義漬けで憔悴しきっていたが、クラスも打ち解け、仲間たちと楽しいビールを飲みながら、自分たちの夢を語り合った。

4日目は朝から模擬試験。10人の模擬患者を診察した。4日目になると多少の自信は出来ていたが、実際やってみると全然時間が足りない。5人ぐらいやったところで、ようやく時間配分が出来るようになってきたが、内容としてはぼろぼろの状態だった。しかし、最終日に前日の模擬試験のFeedbackがあり、合格圏内に入っているとの結果だったので、ちょこっと安心して新たに出来た友人たちと再会を約束して帰路に着いた。
講習に関しては、高い金を払わなくても市販されているKaplanのStep 2 CS対策本をしっかりやっていれば講習を受ける必要はないように思ったが、模擬試験は是非とも受けておいたほうがいいだろう。しかし、講習で知り合える人間たちを思うと、値は張るが参加してみる価値は非常に高いと思う。